リフォームの仕事にたずさわって、いつも思うことがひとつあります。
「建物が古くなったから新しくしたい」
「設備が壊れたから取り替えい」
「家族が増えたから増築したい」
「設備が壊れたから取り替えたい」…
こんなことがきっかけでリフォームを考えられる方が、とても、多い。
でも正確には、これらはあくまできっかけではないか。
その背景にあるのは、日常の「くらし」の変化や、住む人の「こころ」の変化ではないか。
それらの変化によって建物や設備の位置づけ・あり方が変わったから、
リフォームを考えたいと思ったのではないか。
常々、そう思っております。そして実際、多くの場合、それが真実であることを確信します。
リフォームを進めるにあたっては通常、経済的にも精神的にも、
お客様は大きなエネルギーを費やすことになります。
それだけのエネルギーを費やすからには、当然大きな「喜び」「満足」を得るべき。
しかしそのためには、表面的な建物や設備のことのみならず、
生活の根底で何が起こっているのかをしっかり押さえて、
さまざまな角度から「くらし」や「こころ」を考え直すことが必要―そのように思っています。
私たちは、女性の建築士として、「くらし」や「こころ」を見つめ、その根本の問題解決まで考える。
そのお手伝いができれば、幸いです。
私たちは設計を始めるにあたって、
「その住まいでどんな暮らしをしたいのか」を、住む人と充分に話し合います。
「心地よい住まいづくり」には、住む人の生活や生き方、夢を理解することが、
大きなテーマになるからです。
どのようなスタイルで、暮らしたいのか。
どのようなものと一緒に、過ごしたいのか。
どのようにうつりゆく時を、楽しみたいのか。
これらを住む人・創る人みんなが共有することが、リフォームを成功させる鍵。そう考えます。
仕上がりを見て、優しいため息がこぼれる住まいの実現。
これを支えるのは、住む人の「くらし」「こころ」を理解した目配り・心配りを、
創る人が持つことではないか。
「くらし」「こころ」を理解した、行き届いた設計が、理想のリフォームを支えると考えております。
設計にあたって大切なのが、「予算」です。
限られた「予算」の中で、住む人に満足いただける設計を行う。
限られた「予算」の中で「喜び」を得うる、
素材選び・リフォーム範囲の選択・優先順位の整理などの提案を行っていくのが、
私たちの仕事です。
「予算」にとらわれて「妥協」のリフォームを行うことは、私たちの考えるスタイルではありません。
それがどんなに小さなリフォームでも、
「妥協」によるものは決して満足を得られないことを知っているからです。
「予算」についてもきちんと話す。
そうでなければ、「心地よい住まい」についても話せません。
釘をたたく大工さんはプロの職人です。
彼らの存在は、とても重要。
イメージやデザインを実現できるかどうかは、施行する職人さんの腕次第。
私たち設計者が本当の意味で「心地よい住まいづくり」を目指すとき、
職人さんの施行技術はとても重要になります。
その上で、彼らがどんなにプロフェッショナルでも、
住む人の気持ちが伝わらなければ「心地よい住まいづくり」はできません。
デザイン・使い勝手・用途。
これらについての、密接なコミュニケーションが、「住まいづくり」には不可欠。
住む人の「くらし」「こころ」を理解してできた設計を、我々は直接、施工する職人さんに伝えます。
そして彼らと一緒に、それをカタチにしていきます。
お客様の住まいは、我々にとってもとても重要な「作品」。
彼らと共に、誇りを持って、住まいづくりを行っていきます。
たとえば和風の木造住宅。
百年以上経ても生き続けているものが数多くあります。
しかしもちろん、昔の姿そのままに残っているわけではない。
大切に見直され、リフォームを繰り返して、それによって生き続けているのです。
一度作りあげた「心地よい住まい」も、
月日と共に人の「くらし」や「こころ」が移りかわる中、そのあり方も変わっていくべき。
「人」に「かかりつけの医者」が必要なように、
「家」にもそのあり方を見続ける・相談にのり続ける「かかりつけの専門家」が必要です。
私たちは、いつまでも皆様のホームドクターであらんことを願っております。
一度のリフォームにとどまらず、どんな些細なことでも。
いつでも、ご相談ください。